120円で乗れる水戸岡デザイン長崎電気軌道のMINATO(みなと)に乗ってみた。

近頃、予定があってお出かけするときに雨が降ることが多い。

今日もお昼から出かける予定があった。いつもは歩いて行く距離(5キロ)だけど、雨風が強く傘をさして5キロ歩くには、かなりコンディションが悪いお天気。

そこで路面電車で移動することにして、最寄の電停で電車を待っていると見慣れたチンチン電車が遠くで信号待ちをしている。

屋根のある電停で身を隠そうとしても横なぐりの雨が体を濡らしてゆく。路面電車ハヨ来い!と心の中で叫んでいると、信号待ちの古い車輌の後ろにもう1台見慣れない濃い紺色の車輌が見えた。

信号が青に変わり、見慣れた電車と見慣れない電車が2台並んで近づいてくる。

「あっ、みなとだぁ!」と思わず声が出てしまった。電停で電車を待っていたのが自分ひとりだと確認し胸をなでおろす。

初めて行った東京の山手線車内から、並走するドクターイエローを偶然みてしまったときも「あっ、ドクターイエローだぁ!」と声が出てしまい、とても恥ずかしい思いをした過去が蘇る。

いつの頃からか、ニワカに電車が好きになり、珍しい車輌や自分が好きな車両を見かけたときに思わず声が出る癖がついたみたいだ。

そんなことを考えながらも視線は近づいてくるみなとをずっと捉えている。

雨に煙る中、遠くに見えた車体は濃い紺色に見えたが、間近に迫ってきたみなとは雨に濡れながらも鮮やかなメタリックブルーの車体が輝いて見えた。

2台並んだ車輌はそれぞれ行き先が違ったが、どちらに乗っても差し支えのない電停で降りる予定だったので、1台目をやり過ごして2台目のみなとに乗ることを決めた。

というか遠くに見えた車輌がみなとだと確信したときにもう乗ることを決めていた。

乗り込んだ瞬間、まだ新しい木の匂いが車内に充満しているのを感じた。

ひとまず空いている座席に腰を下ろしスマホを取り出し記念撮影の準備開始。

スマホを構え、さてどこから撮影しよかと車内をキョロキョロ見渡して見ると、すでに1人の若い女性がスマホを片手に記念撮影中。

若い女性の中にも電車に興味がある人もいるんだな。と珍しい電車内で珍しい人種を発見できたことに2倍得した気分になる。

ということで、撮影中の女性や乗車している他のお客さんに迷惑がかからないように、まずはひっそりと向かい側の座席をパシャリ。

背もたれの枠が木で作られた座席になっていて、なんだか普通の車両の座席よりも座り心地がいいように感じられた。

もちろん床一面も木材で埋め尽くされている。

まだ新しい車輌なので床の経年変化を楽しむことはできないが、年数が経つに連れ出入り口の足元から順にアジのある床へと姿を変えてゆくはずだ。

車内に乗り込んで感じた木の香り。よく見ると吊り革までが木で作られている。

座席から腰を上げ木製の吊り革に手を伸ばしてみると暖かい木の温もりを感じた。

小さいお子さんを子育て中の親御さんは、ぜひ抱っこして子どもさんに握らせてあげてほしい。そんな温かな吊り革だった。

運転席の背面には組子細工が施されている。

車内に温かな雰囲気が溢れているのは、組子細工から漏れ出た光が間接照明の役割を果たしたこともひとつの要因なのだろう。

メインの室内灯には船舶用に使われるものが採用され、その名のとおり港町をイメージして名付けられた「みなと」にふさわしい電装から柔らかい光が放たれている。

車内に何個か設置してある青い電灯。僕が乗車した昼間には点灯していなかった。

夜専用なのだろうか?

(後日、船を持っている会社の先輩にこの写真を見せて聞いてみたところ、もしかすると航海灯かもね)

ということでした、航海灯は本来は、緑と赤のランプを使うようですが、緑ではみなとのデザインと合わないので、青のライトにしたのかも。という結論になりました。

はっきりとはわかりませんが、僕と会社の先輩との予想ですので、あまり真に受けないでくださいね。

窓際に目をやると窓枠も木製のもので囲われている。

ロールカーテンは、九州新幹線800系つばめなどにも採用されている簾方式だった。

これからの暑い季節に、簾を下ろした路面電車が長崎の街を走る姿を早く見たい。

車輌の前後に上の写真にある絵が飾ってある。

上の絵は十二支を意味していると思うんだけど、如何せん学がないので意味がわからなかった。
(上の写真の文字は双喜模様といって「喜」がふたつ並んだ、とてもおめでたい。という意味があるようです)

下の絵は、龍踊りと獅子舞と鳳凰と鯉?この絵にも意味があると思うんだけど、如何せん学が(以下省略)

こちらは長崎ならではのステンドグラス。

前後両サイドに4枚違うデザインのステンドグラスが窓にはめ込まれている。

この日は生憎の雨だったけど、お天気の良い日には、ステンドグラスから朝日や夕日が差し込んでくる車内は素敵な色に染まることだろう。

せっかくだから運転台も少し豪華にしてもらえばよかったのに!なんて思うほど簡素な作りの運転台。必要最低限といった構えだ。

運転席よこに取り付けられているロールカーテンを下げてみたい衝動に狩られたけれど、さすがにそんなことできるわけもなくロール状態のままを撮影。

ということで内装の紹介はこれでおしまい。

目的地の電停で一番最初にそそくさと降りて外装の記念撮影。

長崎の街に多く生息していると言われている幸運を招く尾曲り猫のイラストが車体にデザインされている。

鉄道ファンだけでなく、全国の猫ちゃんファンのあなたにも乗車してほしい電車だ!

雨がきっかけで路面電車移動を決意したことで、偶然乗れることになったみなと。

この記事を書くために色々とググってみたら、出発式の日も生憎の雨だったとか。

せっかく仕事がお休みときに雨が降るのはイヤだけど、5月の雨がみなとに乗れるきっかけを作ってくれたことに素直に感謝したい。

長崎の港には雨がよく似合う。

「みなと」は今どこを走っているの?

尾曲猫の「みなと」は今どこ?←こちらをクリックすると尾曲猫がどこを運行しているのか一目でわかります。先回りして乗車しましょう!

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