海沿いに立ち向こう岸を見渡すと、なぜだかあちら側がパラダイスに思えてしまう不思議。それならあちら側へ行ってみれば良いではないか。
昭和33年3月9日、完成まで21年の歳月を掛け、山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ関門トンネルは完成しました。関門トンネルは二重構造になっていて、上が自動車が通行する「関門国道トンネル」下が歩行者、自転車、原付が通る「人道トンネル」になっています。
人道トンネルの通行料は、自転車・原付は20円。歩行者は無料になっています。トンネル内は、自転車・原付に乗車して走行することはできず、乗り物を押して歩くことになります。
ということで、山口県下関市側から福岡県北九州市側へ歩いて渡ってみたので、その時の様子をレポートしてみようと思います。
なにぶん初めての経験なので少し緊張気味でございます。エレベーターに乗り海底まで行くようです。エレベーターの運転時間は6時から22時まで。つまり歩行者が人道トンネルを通れる時間も6時から22時までとなります。
エレベーターに自転車の人影が反射して写っていますが、今では珍しい「紙芝居屋さん」。なんでも、無料で紙芝居を読んでくれるそうです。僕が通りがかった時は、「晋作と龍馬」という演目になっていました。興味がある方は一声掛けると紙芝居を楽しむことができますよ。
「お乗りの方は下の呼ボタンを押して下さい」と。しかし、このメカメカしいボタンはもう少し可愛らしいデザインになりませんか。なんか倉庫とかにありそうなボタンで地味ですよね。人が乗るんだからさ。
扉が開いてビックリ。完全に業務用エレベーターの様相。この箱に乗って地下55mまで降りて行くんですね。こちらももう少しデザインどうにかなりませんか。「なんだか薄気味悪い」
あたりまえだけど、ボタンは2つだけです。地下に行くのでBボタンをプッシュ!
エレベーターの中に、トンネル内でのお約束事が書いてありました。自転車・原付は冒頭部分に書いた通りですね。しかし、ペットさんはダメなんですね。「ペットも家族!」といった市民権を得てきたようにも感じますが、まだまだそうでもなさそう。
下関市側は地上から地下まで約55m降りらしい。地上から地下までの所要時間を計っていれば良かったのですが、そこまで気が回らずにエレベーターの中で「急に止まったりしないだろうな!」とか考えていました。(基本ビビリです)体感では数分乗っていたような気がします。(55mだからそんなにながくはないと思う)
無事に地下に到着しました。エレベーターをおりると、だだっ広いスペースがあります。おじさんが一人でポツリと座っていたり。歩き疲れて休憩中なのかな。
観光客向けでしょうか。関門海峡周辺の散策マップが描かれています。
周囲をぐるぐる見渡してみると「関門TOPPA記念スタンプ」なるものが設置してありました。
「押すよねぇー!」と付属の用紙にペチンっとスタンプを押してみたところ。下手でした。
それでは国号2号線を山口県下関市側から福岡県北九州市門司方向へ歩いてみたいと思います。ってか、結構たくさんの人が歩いていてビックリなのですが。
少し歩いたところで「門司出口700m」の案内板が!ここ人道トンネルは全長780mなのでまだまだ先が長い。
歩いている途中で何かあったらどうするんだ!と、ご心配の方もいるかと思いますが、一定間隔でインターホンが取付けてあり、緊急時はインターホンで連絡が取れるようになっています。「こちら地下。地上の係員どうぞ」
人道トンネル。海外の方にも有名なようで、山口県と福岡県にまたがって記念写真を撮っている団体さんがいらっしゃいました。
ということで僕もまたがって記念撮影。海底のさらに下、地下の県境に自分がいるというのが初めての経験なので、なんだか変な気分でして。この上は海だろ?と思うとなんだか怖いw(基本ビビリ)
ところで人道トンネルを利用している人ってどんな人が多いと思いますか。観光客が多いというのは想像できていたのですが、一番多い層は、ジョギングやウォーキングをしている人たちです。
ここ人道トンネルはウォーキングするのには最高の環境だなーっと歩いていて思いました。僕も少しばかりウォーキングをするのですが、雨の日などは「今日はお天気悪いからやーめた」という言い訳をしてサボるんですよ。
でも人道トンネルだと外のお天気にまったく影響されないので、雨が降っていようが、暴風が吹きさらしていようが関係ない。路面も歩きやすく膝にも負担が少なそうだったので、すごく羨ましいなぁ、と思いました。
周囲のウォーカーに触発されて途中から早足で歩いてみたり。「ふー汗かいたぜぇ」
もちろん北九州市側にもスタンプはありました。ここに来て、スタンプの押し方を間違っていたことに気付くも時すでに遅く。こういう失敗も良い思い出になります。(と自分をなだめたたり)
登りのエレベーターは老夫婦とご一緒でした。ウォーキングしてきたらしいご夫婦。エレベーターの中で息を整えながらストレッチなどして扉が開くと同時に颯爽と歩いて行きました。お年寄り元気やわぁー!
老夫婦をお見送りしてエレベーターから無事生還。福岡県北九州市門司側にたどり着きました。
海の上には関門橋。遠くあちら側を眺めると「あそこから海底を歩いてきたのね」と、なんだか不思議な気持に。
こちら福岡県北九州市門司側の入口は人気も少なく寂しい感じです。あちら山口県下関市みもすそ川には、源義経・平知盛像があったり、長州砲のレプリカがあったりと観光名所として賑わっていました。
早足で歩いて約10分。海底トンネルでのウォーキング楽しかったです。全長が780mとそんなに長い距離ではないので、ゆっくり歩いても15分くらいでたどり着ける距離です。下関・門司港に旅行・観光に行ったさいは、ぜひ海底の人道トンネルを歩いてみてはいかがでしょうか。
さいごに、先程のエレベーターホールにあるスタンプですが、2つのスタンプを押して観光案内所で提示すると「関門TOPPA!記念証」なるものがいただけるそうです。
JR下関駅・JR新下関駅 9時~18時
カモンワーフ事務局(3階)・長府観光会館 9時~18時
門司港観光案内所 9時~18時
旧門司三井倶楽部 9時~17時
詳しいことはスタンプを押す用紙に書いてありますので、そちらをご覧ください。